論述
脊柱側彎症における広範囲脊柱固定術の日常生活動作に及ぼす影響
山中 力
1
,
大木 勲
1
,
井上 駿一
1
Tsutomu YAMANAKA
1
1千葉大学医学部整形外科学教室
pp.1011-1016
発行日 1973年12月25日
Published Date 1973/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904922
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まえがき
脊柱側彎症治療における成績向上の最大要点は,他の諸疾患の治療と同様に,早期発見,早期治療にある。これらの実現は,観血的矯正ならびに脊柱固定術適応症例の,激減を招来することは想像するに難くはない.即ち我々の側彎症治療方針は第1図のごとくであり,側彎症患者の75%以上が非観血的治療の対象で,その数は200以上を越すが,これらの治療成績も満足すべきものを得ているからである.しかし現在,なお当科初診患者の25%は高度側彎症であり,観血的治療の対象である.1962年Harrington1)により提唱されたinternal rodによる側彎矯正固定術式は,確実なる矯正効果と保持効果により,現在最も優れた術式である.我々は観血的治療の第一選択術式として,いささかこの術式に改良を加えて実施している2,3).我々は基本的にはButte4)よりGoldstein5)の固定範囲の決め方を採用しており,これらに従えぽ可動域の少い胸椎を中心にするといえども広範囲の脊柱固定術を施行することになる.しかしHarrington instrumentationは臨床成績,即ち矯正率(Percent corection6)),脊柱固定,遠隔成績などいずれをとつても満足すべきものを示している.
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