臨床経験
水溶性造影剤Methylglucamine Iocarmateによる腰仙部Myelography
小曾戸 哲
1
,
大西 優
1
,
若松 英吉
1
Tetsu OSODO
1
1東北大学医学部整形外科学教室
pp.785-793
発行日 1973年9月25日
Published Date 1973/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904889
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
水溶性造影剤によるmyelographyは欧州諸国においては相当普及しているが,最近わが国においても無麻酔下での水溶性myelographyがmethylglucamine iothalamate(Conray)を使用して報告されて以来,その有用性が認識されつつある.神経学的検索の進んだ今日においてもmyelographyは治療の方針を決める上に重要な手段の一つであることからも,水溶性myelographyが普遍的な検査となるためには,手技および副作用予防に習熟,注意とともに,その造影所見の正しい把握が重要な条件となる.
これまで本邦において,その使用経験として報告されているごとく,水溶性造影剤によるmyelographyはこれまでの油性造影剤の場合と異なり,硬膜終嚢像のみならず,馬尾神経においてそのレリーフを詳細に描出し,腰仙部椎間板ヘルニアを主とする,根神経症状を呈する腰痛性疾患の診断には極めて有力である.また注入された造影剤の排泄も速やかであり,反復検査も可能である.しかし開発初期の水溶性造影剤が示すとおり,神経組織,髄膜などに対する刺激作用は,現在使用されているものでも皆無とはいえず,また検査手技および術後管理の煩雑さを伴うという難点は免れていない.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.