論述
線維性組織球腫について
湯本 東吉
1
Tokichi YUMOTO
1
1鳥取大学医学部病理学教室
pp.698-713
発行日 1973年9月25日
Published Date 1973/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904880
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組織球の増殖を主体とする種々の腫瘍状増殖に対する考え方は最近著しく変つてきた6,30).とくに,Ozzelo,Stout,and Murray23)らの組織培養法による研究によつて腫瘍性組織球が線維芽細胞に転化することが確かめられてから,黄色腫を含めて,これらを総括しようとする見解が現われてきている.Stout and Lattes31)は組織球を主とする腫瘍状増殖に対して,線維性組織球腫として総括している.しかし,その組織像は種々様々で,報告者の見解に従つていろいろの名称で呼ばれていることも事実である.これらすべての腫瘍は,基本的には組織球の増殖よりなるが,銀線維や膠原線維の量・これらの線維の配列の仕方・泡沫細胞や脂質の有無・巨細胞,血管,血鉄素の有無などは著しく異なつている。
他方Enzinger5)を中心とするWHOの軟部組織腫瘍の組織学的定義と分類では,腫瘍と腫瘍状増殖を区別し,皮膚線維腫dermatofibromaと,隆起性皮膚線維肉腫dermatofibrosarcoma protuberansは前者に,その他は黄色腫グループとして一括して後者にいれられている.
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