筋組織病理図譜・9
結節性動脈周囲炎
桜井 実
1
1東北大整形外科
pp.765
発行日 1972年9月25日
Published Date 1972/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904742
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激しい筋肉の運動痛,圧痛があり,かつ筋萎縮を伴う疾患として多発性筋炎(7月号,536頁)が先ず考えられるが,類似の膠原病として上記標題の疾患が知られている.激しい筋肉痛を訴えることが特徴的で,陳旧性になるとリウマチ反応が陰性となつても疼痛のみが残ることがある.第1図に示したものは50歳男子でがんこな腰痛があり他覚的所見に乏しいため詐病とも思われたが,筋生検を行なって見た所,筋膜内血管周囲の細胞浸潤と閉塞が認められた.第2図は45歳の女性で全身の筋肉痛を訴え,リウマチ反応は陽性であるがCPKは正常範囲にあり,前脛骨筋中の小動脈の炎症,肥厚,閉塞および周囲の筋線維の萎縮,中心核などが見られた.急性の初期炎症に引き続いて陳旧性に移行した所見と思われる.筋線維の変化は血管の炎症を示す周囲以外に著変がないが,この症例では第3図のコハク酸脱水素酵素活性の染色の態度に見られるように色の淡い,いわゆる白筋線維の萎縮が著明で血行障害による変化かと思われる.
動脈周囲炎は多発性血管炎ともいわれ,静脈にも変化が起こるとされている.第4図に示したものは長期間筋肉の疼痛を訴え,萎縮が著しい35歳の女性の下腿筋の一部で,小動脈周囲の細胞浸潤,間質結合織の増殖の他に筋線維間隙に存在する毛細血管の甚だしい肥厚があり,陳旧化したものの変化と考えられる.
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