論述
遅発性尺骨神経麻痺と神経造影
細川 昌俊
1
,
石下 峻一郎
1
,
小林 信男
1
Masatoshi HOSOKAWA
1
1飯田市立病院整形外科
pp.445-457
発行日 1972年6月25日
Published Date 1972/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904696
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末梢神経造影は決して新しい検査法ではなく,すでに1932年斉藤の臨床報告を見るが,手技の繁雑さの割にその臨床的価値があまり認められず,また,造影剤による副作用が懸念されてか,日常の検査法として広く常用されるまでには至らなかつた.しかし造影剤の改良も進み,1960年代に入り本邦において再び神経造影がとりあげられ,1966年兪は動物実験ならびに臨床応用例を報告しその安全性を確認し,1967年中城は神経造影像を臨床的に分類しその実用性を述べ,神経造影の意義が再評価されるようになつた.
一方,遅発性尺骨神経麻痺は1878年Panasの報告以来多くの報告があり,その原因疾患として肘関節周辺の骨折による変形を始めとして,変形性関節症,関節遊離体,瘢痕性絞扼,習慣性尺骨神経脱臼,ガングリオン,いわゆるcubital tunnel入口での圧迫などが挙げられている.しかしながら,遅発性尺骨神経麻痺の原因は画一的には論じられず,いろいろな要素が関与していると考えられる症例も少なくない.
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