論述
足蹠と重心位置—とくに小児を中心に
月村 泰治
1,2
,
川村 碩彬
2
,
平沢 弥一郎
3
Taiji TSUKIMURA
1,2
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
2浜松療護園
3静岡大学教養部
pp.23-34
発行日 1972年1月25日
Published Date 1972/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904637
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ひとが地球の重力の場で起立し,歩行し,その安定性を保持する場合,その保持にあずかる因子は,筋の自己受容調節,視覚からのfeed-back調節,および平衡調節などのいくつかの因子が考えられている.これらの諸調節は極めて巧妙に行なわれているために,正常人の場合,その制禦機構を意識しないし,起立,歩行などは極めて簡単な運動としか感じていない.しかし,各調節のどこかに破綻があつても,異常な状態を示し,不安定起立,起立不能,跛行,歩行不能などの状態を呈するようになる.また逆に表現型としての症状,状態より調節の異常を知ることは理論的には可能であり,ある程度の解明はなされているものもある.しかし客観的,定量的に把握することは,いままでに充分行なわれてはいないようである.
剛体の場合,物体の安定は重心位置の安定化を計ることにより得られるが,ひとの場合もひとを一つの質点系とみなすとき,これの重心の測定が可能であれば,その安定性を定量化することも,ある程度可能であろう.
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