境界領域
消化管手術後の骨病変
松木 久
1
,
武藤 輝一
1
,
佐藤 厳
1
,
榎本 一彦
1
,
新田 洋
1
,
庭山 昌明
2
Hisasi MATSUKI
1
1新潟大学医学部第一外科学教室
2庭山外科医院
pp.929-938
発行日 1971年11月25日
Published Date 1971/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904614
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まえがき
近年,消化管手術後障害の一つとして骨の病変,とりわけ胃切除後にあらわれる骨軟化症が注目されてきている.この合併症は,Malabsorption Syndromeの一環として,Caの吸収障害に起因するとされているが,その実態はいまだ十分把握されているとはいい難い.
代謝性骨疾患の研究の歴史は,1858年Heinrich Müllerが臨床骨学Klinische Osteologieとしてその基礎を築いたことに始まるが,消化管手術後の骨病変の研究は,1941年Sarasin37)の胃切除後骨軟化症例の報告をもつて嚆矢とする.その後約20年間は,わずか数例の症例報告をみるにすぎないが3,23,34),1960年以降,英,仏,豪などより相次いで多数の症例が報告され,最近Thompsonら44)はヨーロッパにおける骨軟化症の原因の第一位は胃切除であるとさえ極言している.
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