論述
7つの科による鞭打ち損傷患者の総合研究結果
杉本 侃
1
,
桂田 菊嗣
1
Tsuyoshi SUGIMOTO
1
,
Kikushi KATSURADA
1
1大阪大学医学部付属病院特殊救急部
pp.362-369
発行日 1971年5月25日
Published Date 1971/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904542
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はじめに
鞭打ち損傷という名が診断名としてきわめて不適当であり,何ら病態を説明するものではなく単に受傷機転を示すに過ぎないことはもはや異論のないことであろう.しかもこの語はその内容がよくわからないままに途方もない誤解と恐怖を一般に植えつけており診断名とすることは絶対に避けるべきものと考える.しかしこの語が社会的にも医学的にも極めて広範囲に普及し無視し得ない状態にあることも事実である.したがつて,われわれの研究班はこの病名をそのまま採用しこの病名が何をあらわすかを徹底的に掘り下げることにした.本論文においてこの病名をそのまま題名として使用したのもそのような意味においてである.
鞭打ち損傷が現在まで各人各様に解釈され一定の病態がつかめなかつた原因としてわれわれは次の三つを重視したい.
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