臨床経験
膝関節前方脱臼による膝窩動脈断裂の1例
橋本 廉平
1
,
田島 達也
1
,
内山 淳
1
Rempei HASHIMOTO
1
1新潟大学医学部整形外科学教室
pp.169-172
発行日 1971年2月25日
Published Date 1971/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904517
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はじめに
膝関節脱臼や脛骨近位端部骨折は比較的高率に膝窩動脈損傷を招き,しかもそれは高率に遠位部の壊死を招くことがわかつている.その原因は膝窩動脈は上縁は内転筋腱弓で,下縁はヒラメ筋,腓腹筋により固定されている上に,周囲の軟部組織が少ないため,鈍力による血管損傷を生じやすいこと,また側副血行が十分でないという解剖学的特徴によると考えられていた.われわれは最近膝関節前方脱臼による膝窩動脈断裂の一例を経験し,その例では,動脈吻合術が成功しなかつたにもかかわらず,下腿を救い得たのでその理由について考察を加えてみた.
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