視座
こどもの骨折治療に
岩原 寅猪
1
1国立村山療養所
pp.907
発行日 1970年12月25日
Published Date 1970/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904482
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こども,幼小児の骨折にはいくつかの特殊性,特徴がある.骨折部(これをたとえば上腕骨顆上部および橈側顆部),骨折型(これをたとえば竹節状骨折,骨端線離開)などにこれがみられ,また修復機転がさかんで,治癒に導きやすく,またしたがつて治療法が成人におけるのとはおのづから異なるところがあることなどもこれである.これらはいずれも骨折が成長期骨に起こったことに由因するもので,幼若個体の旺盛な活力に関連するものでもある.
いまさら言うまでもなく,骨折は非観血的に,閉鎖性に治療するのが原則で,とくに幼小児の骨折においてそうである.古くWolfの応変則Transformationsgesetz,Rouxの機能的適応説funktionelle Anpassungstheorieなどにもあるように,骨には大きな順応性,自家調整能がある.それが,生体の活力の特大である幼小児の骨においてはその順応性,自家調整能が驚くほど大で,成人においてはみられないほどの自家調整能を現わし,順応性を示すものである.骨折治療においてこれらの活力,自然治癒力を最大限度に活用しないてはない.
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