視座
「骨折治療近代史」の中絶
天児 民和
1,2
1九州大学
2九州労災病院
pp.495
発行日 1970年7月25日
Published Date 1970/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904421
- 有料閲覧
- 文献概要
5回に亘って「骨折治療の近代史」を書いてきた.その間医学書院にもいろいろ事故があって本誌の出版が大変遅れてしまい,そのうえあの原稿も1,2回は電話で校正を頼まれた.新聞社でいつも校正している人ならば電話校正ができるかも分らないが,われわれのようなものには少々無理である.自分ではかなり校正したはずであるが,さて印刷になつてみると随分文章もまずいし誤植もある.皆様に申訳ないと思つている.また御愛読を賜つた読者諸兄に深謝したい.
今回5回でとうとう中絶することになつた.やめるのではない,何故かといえば今執筆するだけの資料がなかなか集まらないためである.骨折のようなあまり普遍的でない医学の分野はこつこつと文献を探してゆかなければならないが,日本の各大学の図書館は歴史を勉強するにははなはだ未整理である.九大の医学部図書館も1860年代から古い有名な雑誌は一応揃つているが,読む人が少ないので本棚の隅つこに押しやられている.とくに単行本はそれがひどい.そんなこともあるので私は多忙な現在の生活の中でそれを探し出すことに大変な時間と労力が要る.それで遂に5回で中絶することにした.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.