今月の主題 腎移植
話題
移植拒否反応のプロテオミクス
友杉 直久
1
Naohisa TOMOSUGI
1
1金沢医科大学総合医学研究所
キーワード:
急性拒絶反応
,
プロテオミクス
,
バイオマーカー
Keyword:
急性拒絶反応
,
プロテオミクス
,
バイオマーカー
pp.809-812
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101652
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1.はじめに
腎移植患者にとって,急性拒絶反応の出現は予後を決定する重要な因子である.それゆえ,早期に急性拒絶反応の出現を捉え,早期に治療を開始することが望まれる.現在,クレアチニンの上昇で急性拒絶反応の存在が疑われ,腎生検組織標本で確定診断されている.これは,急性拒絶反応が組織病変を惹起し腎機能障害に陥った時点で,ようやく臨床的に把握されていることを意味している.より早期に急性拒絶反応を見つけるため,プロトコール腎生検が行われており,臨床症状を認めていない患者の30%前後に組織学的にすでに急性拒絶反応を呈していることが報告されている1).しかし,腎生検は観血的な方法であるため繰り返し施行するにはリスクが高く,またサンプリングエラーなどの問題もある.これに対し,非侵襲的診断法として繰り返し採取が可能な尿や血中に存在する細胞や蛋白質/ペプチドを,バイオマーカーとして急性拒絶反応を早期からモニタリングする試みがなされてきた.
本稿では,プロテオミクス解析から開発されたバイオマーカーを用いた,急性拒絶反応の非侵襲的診断法の可能性を述べる.
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