臨床経験
一米国小児病院におけるNeuroblastoma96例の統計的報告—とくに骨転移について
小泉 正明
1
,
三杉 和章
2,3
Masaaki KOIZUMI
1
,
Kazuaki MISUGI
2,3
1横浜市立大学医学部整形外科
2オハイオ州コロンブス小児病病院理
3オハイオ州立大学医学部
pp.1071-1080
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904317
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緒言
NeuroblastomaおよびGanglioneuroblastomaは脳腫瘍と白血病を除き小児期において最も多い悪性腫瘍である.この腫瘍は一般に早期に転移をおこして悪性の経過をとることが普通であるが,一部の例においては広範な転移があるにもかかわらず進行がとまり,未分化な神経芽細胞から分化のすすんだ神経細胞に変化することも知られている5)6).このように頻度の多いこと,予想外の臨床経過をとること,組織学的に極めて変化の多い像を示すことなどの理由から数多くの研究がなされている.
われわれは米国オハイオ州コロンブス市の小児病院において1945年より1966年2月までに取扱つた96例の症例について,臨床歴,病理材料およびレ線写真について検討する機会をもつた.そしてすでに指摘されていることではあるがこの腫瘍の初発症状が極めて変化に富んでいて,しばしば四肢の症状を中心としたいわゆる整形外科的な主訴をもつて来院している事実を改めて印象づけられた11)12)13).本報告は骨転移を中心として両腫瘍の症状,診断,病理組織像および予後についてまとめたものである.
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