論述
骨腫瘍における穿刺細胞診について
北川 敏夫
1
,
清水 親嗣
1
,
林 泰夫
1
,
木村 修
1
,
本田 五男
Toshio KITAGAWA
1
1熊本大学医学部整形外科学教室
pp.684-690
発行日 1969年9月25日
Published Date 1969/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904120
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いとぐち
細胞診は婦人科,内科,外科等いろいろな科で広く応用されているが,整形外科では病巣が主として骨という硬い組織内にあるので,従来細胞診はほとんどかえりみられなかつた.1955年Fritz Schajowicz1)はaspiration materialより塗抹標本を作製し,メチレンブラウ染色,マイグリユンワルド染色,ギムザ染色,ヘマトキシリンエオジン染色を行ない,エオジン好性肉芽腫,骨髄腫,転移癌等の診断に役立つと言い,また骨髄炎とEwing肉腫との鑑別,巨細胞胞腫と溶性骨性肉腫との鑑別に役立つと言つている.1965年二瓶2)は四肢悪性骨腫瘍における流血中の悪性腫瘍細胞検出の助けとして種々原発性骨悪性腫瘍の腫瘍塊の塗抹標本を作製し,ギムザ染色を行ない腫瘍細胞を形態学的に観察している.しかしながら一般には骨腫瘍における細胞診に関する研究はあまり盛んではない.骨腫瘍は病変が進むと大多数は骨外の軟部組織に病巣が波及するので,この部分の穿刺細胞診は可能である.また病期が初期で病巣が骨内に限局している時期においても骨皮質が稀薄化している場合が多いので,この様な場合には骨髄穿刺針で穿刺することが可能であり,穿刺により病的産物が得られ塗抹標本にてある程度診断が得られる.
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