視座
膝半月摘出術の適応
池田 亀夫
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
pp.167-168
発行日 1969年3月25日
Published Date 1969/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904045
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半月切除術は今日広く一般に行なわれており,これに関する臨床的,実験的研究の数は甚だ多い.しかし,この半月切除術は全摘出術が優るか,部分的切除を原則とすべきかの基本的な問題は未解決のまま残されている.半月切除術後,十分な再生を信ずる人は全剔出術を推奨し,一方,半月の再生を期待しない人たちは,当然,半月の切除範囲を最小限に止めるべきことを主張している,半月の再生はその切除縁から増殖した滑膜組織が質,量ともに,次第に形を整えて,ついには白色,腱様の光沢を帯びた,一見,正常半月に似た形に到達するのであるが,人間の場合その推移は極めて緩徐で,外観上半月に似た形態をなすには少なくとも1年以上を要する.形態面からみた半月の再生は以上のごとくであるが,形態上の再生が直ちに機能の復元を意味すると考えるのは早計である.従来の多数の論文の弱点もここにある.再生半月が半月本来の機能をどの程度に代償しうるのかは全く別個に考えねばならない.
半月の生理的機能については色々な分類法があるが,最も理解しやすいCravener & Mac Erloy(1941)のそれによると,半月は6つの機能を有する.これらの諸機能を完遂するには半月自体に次の2条件を備えることが必要となる.
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