境界領域
リウマチとグロブリン
延永 正
1
Masashi NOBUNAGA
1
1九州大学温泉治療学研究所内科
pp.1073-1080
発行日 1968年12月25日
Published Date 1968/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904017
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はじめに
膠原病をも含めてリウマチの本態はいまだに不明の域を脱していないが,近時,自己免疫説が登場してきて,ようやくこの方面の研究も活発になつた感がある.一方,無γ-グロブリン血症が慢性関節リウマチ(RA)を合併しやすい事実が知られており1〜3),リウマチの発症ないし病態とγ-グロブリン(γ-グ)の関係が注目されている.かような点からリウマチにおけるグロブリンのうちでは,まずγ-グをとりあげるのが適当かつ必要なことであろう.
次に注意をひくのはα2-グロブリン(α2-グ)である.本グロブリンはγ-グについで変動が大きく4,5),とくに早期に増加率が高い.そして慢性化してr-グが著増してくる頃には次第に正常化してゆく6)など,その態度にも興味がもたれるからである.α2-グのうちではハプトグロビン(Hp)とセルロプラスミン(Cp)は割合よく知られているが,α2-マクログロブリン(α2M)についての研究は比較的少ない.そのうえα2Mにはプラスミンに対する阻害作用があるといわれており7),炎症性疾患におけるなんらかの意義が示唆される.
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