臨床経験
有鉤骨脱臼の治験例
新名 正由
1
Shimmei Masayuki
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
pp.537-542
発行日 1968年6月25日
Published Date 1968/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903937
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いとぐち
手根骨脱臼は月状骨脱臼を除いて他は稀なものである.それはWagner(1959)1)によれば,"手根骨相互間の靱帯は,個々の関節の運動を許し,しかも同時に手根骨を一単位として作用させるよう分布している"ことによる.とりわけ遠位手根骨の単独脱臼は極めて稀で,文献上,特に有鈎骨脱臼の報告は1882年Buchananにより最初に行なわれ,現在まで10例程度の報告があるにすぎない.われわれは最近,橈骨下端骨折,大多角骨亜脱臼,拇指球筋の断裂を伴つた有鈎骨掌側脱臼の1例を経験したのでここに報告する.
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