臨床経験
乳児外反足様症例の観察
吉田 恒丸
1
,
木村 繁
1
1日本医科大学整形外科学教室
pp.409-414
発行日 1966年7月25日
Published Date 1966/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903778
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緒言
「歩く」と云う事は育児の1つの目標であり,子を持つ親達にとつて深い関心の的であろう.
従つて足の一寸した変形に対しても親は極めて敏感である.我々が乳幼児を診察する機会に内反足の如く明瞭な変形ではなく,また起立歩行開始後の所謂足内旋(うちわ足)Pigeontoeとも異なり,むしろ之等と変形の要素に於いては反対の一見外反様の変形を呈し,母親が「足の向きの悪い事」や「足首のしつかりしない事」に気付いて受診して来る例に時折遭遇する事がある.従来この様な固定された足変形を示さない,いわば非定形的な足変形に対しては月令の長ずるに従がい,多くは自然に矯正または正常足に発育する傾向があるものとして積極的な治療は行なわれぬ事が多く,之等の足変形は生後の何等かの因子により形成せられた所謂後天性のものに対し,先天性の扁平足,踵足,外反足と云う様な病名で処理されているが,その予後は必ずしも判然としていない.従つてこの種の足変形の成長に伴なう変遷と歩行開始後の形態的機能的予後の追求は将来の固定化した足変形の成立に関連して興味あるものと考え,私は少数例てあるが現在迄経過を観察し得た症例の臨床的レ線学的追求により得られた若干の知見につき報告する.
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