視座
新しい時代のリーダーシップ
黒坂 昌弘
1
1神戸大学医学部整形外科(器官治療医学講座・運動機能学)
pp.777-778
発行日 2002年7月25日
Published Date 2002/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903580
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十数年前のバブル時代全盛期には経済が異常に成長し,良し悪しは別にして世の中全体に活気が満ち溢れていました.われわれ医療に携わる関係者にとっては,バブル景気などは全く関係ないものと思っていましたが,社会構造が変革し経済状態が悪化するに伴い,医院や病院の経営に加えて,大学の運営にまで大きな変革がもたらされています.大学で新米教授として後輩の指導にあたる立場になった私自身は,新しい時代にふさわしいリーダーシップとはいかなるものかということを,戸惑いとともに考えざるを得ません.
大学や公的病院の近未来の独立行政法人化に関しては衆人の周知するところですが,実際に今の公務員の制度がどのように,どの程度まで変革されるのか,具体的な形はなかなか見えてきません.また,同時にいくらかの大学が大学院大学として部局化され,新しい大学の形態で研究を始めることになりましたが,私を含め大学院大学化された多くの施設のスタッフには,教室の名前が分かりにくくなったことを除いては,特別にスタッフの数が増えるわけでもなく,特別な研究費が割り当てられるわけでもなく,この変革においても具体的に今後どのような現実が待ち受けているのか,極めて理解しにくいことも事実です.そこで,大学という組織単位で考えると,構成員全体の夢,言い換えると“全員の目標”をどこにおけば,より多くの構成員が喜びを分かち合うことができるのかということが大きな課題になります.
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