Japanese
English
臨床経験
胸郭出口症候群として初療された胸椎部脊髄くも膜嚢腫の1例
A Case of Thoracic Spinal Arachnoid Cyst whose Diagnosis was Initially Difficult to Differentiate from Thoracic Outlet Syndrome
澤泉 卓哉
1
,
白井 康正
1
,
宮本 雅史
1
,
橋口 宏
1
,
深井 靖雄
1
Takuya Sawaizumi
1
1日本医科大学整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Nippon Medical School
キーワード:
脊髄くも膜嚢腫
,
spinal arachnoid cyst
,
胸郭出口症候群
,
thoracic outlet syndrome
,
胸髄
,
thoracic spine
,
椎弓切除術
,
laminectomy
Keyword:
脊髄くも膜嚢腫
,
spinal arachnoid cyst
,
胸郭出口症候群
,
thoracic outlet syndrome
,
胸髄
,
thoracic spine
,
椎弓切除術
,
laminectomy
pp.925-928
発行日 1993年8月25日
Published Date 1993/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901177
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抄録:初発症状にて胸郭出口症候群を疑わせた脊髄くも膜嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は18歳の女性で主訴は左上肢のしびれ感と疼痛及び左手握力低下であった.初診時Morleyテスト・Wrightテスト・Roosテスト等が陽性で頸椎部のMRIが正常のため,胸郭出口症候群の疑いにて外来通院となったが,軽快しないため再度胸椎部のMRIを施行したところ背側のくも膜下腔に異常を指摘され精査目的にて入院となった.入院時の所見は握力は左5KgでC4からTh1までの異常知覚を認めるのみであったが,入院中Th7までの知覚鈍麻と背部痛が出現した.脊髄造影,CTMでも異常を認め,脊髄くも膜嚢腫の診断にて手術を施行した.術後症状は急激に改善した.本症の症状発現機序については牽引説,重量説など諸説あるが,本症例では嚢腫より頭側にあったことより下位頸髄の背側での圧迫とTengの述べる牽引説とが重なり合って上肢の症状が発現したものと考えられた.
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