座談会
整形外科プライマリケアを考える
片田 重彦
1
,
石黒 隆
2
,
住田 憲是
3
,
菊地 臣一
4
1かただ整形外科
2いしぐろ整形外科
3望クリニック整形外科
4福島県立医科大学医学部整形外科
pp.1401-1411
発行日 2001年12月25日
Published Date 2001/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903432
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1.整形外科プライマリケアとはなにか
菊地(司会) 今日の座談会は「整形外科プライマリケアを考える」ということで,そもそものきっかけは片田先生と石黒先生が出版された『整形外科プライマリケアハンドブック』(南江堂,2000年4月発行)という本です.この本は今までにない概念と,世の中に対する問いかけが含まれていて大きな反響を呼びました.いかにこういう本が整形外科医に待ち望まれていたか,あるいは運動器疾患に携わるコメディカルの人たちにも共感を持って受け入れられたということで,歴史的な本だと思っています.この本の登場で考えさせられたのは,整形外科プライマリケアという言葉がなぜ日本で出てきたのかということでしたが,その議論を整理するためにも整形外科とプライマリケアの組み合わさった「整形外科プライマリケア」という言葉がどんなことを意味するのかを規定する必要があると思うのです.
わが国と欧米の「整形外科」という言葉の指す意味を比較すると,欧米ではスペシャリストとしての整形外科で,極端なことを言えば保存療法は含まれない.保存療法や簡単な筋骨格系の疾患は,「プライマリケア,ファミリー・プラクティス」といわれる領域のスペシャリストが欧米ではやっている.日本の整形外科は筋骨格系の診断から治療まで,画像診断を含めて一貫して自己完結の体制でやっている.
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