視座
人工関節手術を考える
山本 純己
1
1松山赤十字病院リウマチセンター
pp.833-834
発行日 2000年7月25日
Published Date 2000/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903031
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1970年のことであるが,英国ライティングトン病院にチャンレー先生を訪問した時の印象は今だに鮮明に残っている.彼の人工股関節手術(LFA)を勉強しようと,世界各国から毎週数十名の整形外科医が訪ねて来る.研修コースではチャンレー先生の人工股関節に対する考え方の基本から,実際に患者を診察し手術の適応の検討が行われる.さらに,手術場に入り,手術の見学と術中にも詳細な手技の説明がある.病棟回診では,術後のケアから退院後の生活指導まで,研修参加者と熱心な討論が行われた.
当時,チャンレー式人工股関節は,チャンレー先生のもとで研修した医師以外には使用させないという主旨が浸透していた.そのためもあり,世界各国から関節外科を専門とする数多くの整形外科医がライティングトン病院の研修に参加していたと思われる.今日,チャンレー式人工股関節が世界各国に普及し,しかも長期にわたる好成績を残していることは多くの整形外科医の認めるところである.このような不動の業績を残している要因の一つに,彼のところでの研修を通じて,彼の考え方,手術手技が正しく伝えられたことにあったといえよう.
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