ついである記・34
Brussels―SICOTを通してEUをみる
山室 隆夫
1,2
1京都大学
2国際整形災害外科学会
pp.622-623
発行日 1999年5月25日
Published Date 1999/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902710
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欧州連合(EU)の本部(headquarters)は現在ベルギーのブリュッセル(Brussels)にある.その建物はまだ全てが完成したわけではないが,今までに使われてきたものだけでも外から見ると堂々たる立派な建物である.将来,EUが1つの合衆(州)国になったとして,ここに大統領府が置かれたとすると,ブリュッセルがEUの首都となるわけだ.ベルギーは地理的にみると,イギリスを含む西ヨーロッパのほぼ中心に位置しているので,ブリュッセルにEUの本部を置いたことは一応納得できるが,それよりもドイツ,フランス,イギリス,イタリーなどのヨーロッパの大国が互いに牽制し合って,これらの内のいずれの国にもEUの本部を置きたくないというnegative balanceが成立した結果,ブリュッセルにもってきたというのが真相のようだ.ベルギーは人口1,000万人ほどの小国であるが,17世紀以来ヨーロッパの経済の中心地であったし,また,絵画や音楽など西欧の芸術をもリードしてきた.ルーベンスやヴァン・ダイクがアントワープで活躍したことや,ブリュッセルのエリザベート・コンクールが今も世界的に有名な音楽コンクールであることなどもその歴史を物語っている.現在,北大西洋条約機構(NATO)やEUの他にも多くの国際機関の本部がブリュッセルに置かれており,また,多くの国際学術団体の本部もこの町にある.その意味では,EUの本部を置くのにふさわしい国際都市である.
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