Japanese
English
臨床経験
多発性骨嚢腫の1例
A Case Report of Multiple Simple Bone Cysts
三谷 誠
1
,
立花 敏弘
1
,
長尾 憲孝
1
Makoto Mitani
1
1中町赤十字病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Nakachou Red Cross Hospital
キーワード:
bone cyst
,
骨嚢腫
,
multiple occurence
,
多発性
,
etiology
,
病因
Keyword:
bone cyst
,
骨嚢腫
,
multiple occurence
,
多発性
,
etiology
,
病因
pp.687-690
発行日 1998年5月25日
Published Date 1998/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902450
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今回われわれは稀な多発性骨嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は69歳女性.左足部を捻り左第1中足骨骨折を生じた.同部に骨嚢腫が認められ病的骨折と考えられたが,左橈骨遠位端の骨嚢腫に伴う病的骨折の既往があり,他に左第二,第三中手骨,右第四中手骨,右第一中足骨にも骨嚢腫がみられ,ほぼ左右対称性の発症であった.病的骨折を起こした左第一中足骨に対して掻爬ならびに骨移植を行った.骨嚢腫の内容液の生化学所見では蛋白分画や電解質は単発性骨嚢腫の場合と同様に血清の組成とほぼ類似していた.骨嚢腫部の病理組織学的所見でも単発性骨嚢腫と類似した所見であった.術後8カ月の現在,再発はなく経過は良好である.多発性骨嚢腫は内容液の生化学所見ならびに病理組織学的所見から単発性骨嚢腫と類似した病態と考えられるが,有意に年長者に発症し,左右対称性に好発するなどの疫学的特徴よりみてそれ以外の素因の関与も考えられる.
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