Japanese
English
論述
手関節三角線維軟骨複合体の変性像―鏡視所見,MRI所見,治療法について
Degeneration of the Triangular Fibrocartilage Complex of the Wrist : Its Arthroscopic Findings, MRI and Treatment
中村 俊康
1,2
,
矢部 裕
1
,
堀内 行雄
1
Toshiyasu Nakamura
1,2
1慶應義塾大学医学部整形外科学教室
2藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, School of Medicine, Keio University
キーワード:
triangular fibrocartilage complex
,
三角線維軟骨複合体
,
degeneration
,
変性
,
horizontal tear
,
水平損傷
Keyword:
triangular fibrocartilage complex
,
三角線維軟骨複合体
,
degeneration
,
変性
,
horizontal tear
,
水平損傷
pp.575-582
発行日 1996年5月25日
Published Date 1996/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901897
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抄録:手関節鏡で診断した手関節三角線維軟骨複合体(以下TFCC)の変性損傷例23例25手関筋を検討したところ,変性所見はdisc properの軟化,線維化,穿孔で,一部の症例にはslit損傷も認めた.abutment症候群は10手関節で,15手関節にはabutmentを認めなかった.TFCC変形を示す症例の多くはMRIでdisc内に水平高信号領域を認めた.また,われわれの組織学的検討からTFCC内部は疎な結合織で,回内外運動中に生じるTFCCの変形を吸収し,その際損傷を受ける可能性が大きいと考えられた.したがって,TFCCの変性はその原因として考えられていたabutmentがなくとも,TFCCの水平断裂を基盤として生じると推測される.TFCC内部に損傷が生じ,手関節鏡ではTFCC遠位面の観察しかできないことから,TFCC変性の診断は関節鏡のみでなく,MRIなどを加味して行うことが奨められる.また,治療成績から,TFCC変性の治療には除圧と同時に支持性の獲得を期待できる尺骨短縮術が望ましい.
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