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特集 上位頚椎疾患―その病態と治療(第23回日本脊椎外科学会より)
環軸関節不安定症に伴う歯突起後方腫瘤の病態と治療
Retro-Odontoid Pseudotumor Associated with Chronic Atlanto-Axial Instability : Pathogenesis and Surgical Treatment
吉田 宗人
1
,
玉置 哲也
1
,
川上 守
1
,
夏見 和完
1
,
南出 晃人
1
,
橋爪 洋
1
Munehito Yoshida
1
1和歌山県立医科大学整形外科
1Department of Orhopaedic Surgery, Wakayama Medical College
キーワード:
環軸関節不安定性
,
atlanto-axial instability
,
歯突起後方腫瘤
,
retro-odontoid pseudotumor
Keyword:
環軸関節不安定性
,
atlanto-axial instability
,
歯突起後方腫瘤
,
retro-odontoid pseudotumor
pp.395-402
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901601
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抄録:頭頚移行部における脊髄症の一原因として,原因不明の環軸関節不安定症に伴う歯突起後方腫瘤を経験し,この病態と治療法について検討した.症例は男4例,女1例で平均年齢65.6歳であった.腫瘤はMRIでは硬膜外より脊髄を著明に圧迫しており,T1-強調像で脊髄と等輝度,T2-強調像では低輝度を示し,Gdでは特に増強されなかった.CT scanでは2例に石灰化を認めた.治療方法としては全例腫瘤の摘出は行わず,C1の椎弓切除に加えて後頭骨頚椎後方固定術が施行された.手術成績はJOA scoreで評価すると術前7.8点が術後12.5点であった.3例の試験切除による病理組織学的所見では炎症細胞は全く認められず,軟骨様細胞胞体内はS-100蛋白に,また基質はII型コラーゲンに陽性であり線維性軟骨組織であった.従ってこの腫瘤は不安定性に伴う環椎横靱帯の反応性肥厚と考えられ,MRIによる観察で後方固定により経時的に減少することが示された.
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