視座
整形外科医のライフサイクル
大井 淑雄
1
1自治医科大学整形外科
pp.791
発行日 1991年7月25日
Published Date 1991/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900379
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世界的に見渡しても最近の状況判断はまったく難しいという他はない.小さな整形外科領域についてもそれなりに流動的である.私共が整形外科医になった頃と現在ではやはりかなり違って来たし,若い医師達の考えも変動している.現時点で自分の過ごして来た医局生活や教室のことなど参考にしつつ,これから一人前になって行く若い整形外科医に示唆することがあればと,あれこれ考えた.医科大学を卒業したら,やはり整形外科の教室へ入局し研修するのが一番効率がよい.卒業したばかりで研修も禄々しないで開業することは今後やはり困難となろうし,医療技術や医学知識が不十分だからである.第一,患者さんにも失礼である.入局6年びっしり苦学勉強し,昔のような古き良き時代の医局生活ではなく,能率よく知識を整理する.そして認定医の試験に合格し,一人前に近づく,そして,4年間教室や医局の後輩指導に協力する.その後10年生を過ぎたら,全員まず開業を考える.
それが何らかの事情で出来ない場合や特殊事情の場合,大学にもう少し残る.私は観念的抽象的な話が嫌いで,ただだらだらと大学に残って年を取り折角の一生を不満足に終える有能な若い人々の苦悩を見るのは嫌である.ポストは一つとか二つとかしかないので無益な争いは避けたいものである.
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