視座
関節の固定と運動
渡辺 英夫
1
1佐賀医科大学整形外科
pp.111-112
発行日 1991年2月25日
Published Date 1991/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900277
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整形外科疾患の治療過程で,一定期間関節の外固定を行うことは少なくない.関節固定期間が長くなった場合の合併症は,関節拘縮,関節周囲の筋萎縮や筋力低下,骨萎縮や骨粗鬆症などであり,廃用症候群(別名二次的合併症または低運動性疾患)と呼ばれている.これは特に老人に生じやすく,いったん出現すればその治療や改善のために多くの日時と費用を要し,患者の身体的,精神的,経済的負担が少なくないのは周知のとおりである.
これら合併症の予防のためにも,関節の固定範囲や固定期間が過剰にならないように注意し,「治療上必要な関節のみを,必要最小限の期間だけ固定し,他の関節は固定しない」のが原則になっている.しかし,現実的には固定範囲や固定期間の必要最小限を自信を持って決定することは必ずしも容易ではない.
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