増大号特集 整形外科 外来・当直 エマージェンシーマニュアル
外傷編
重症四肢外傷
塞栓症—動脈 脂肪塞栓/[COLUMN]誰しもが一度は経験する重度四肢外傷アルアルから学ぶ 他科における幅広い知識の重要性
宇田川 和彦
1
Kazuhiko UDAGAWA
1
1慶應義塾大学医学部救急医学
pp.649-652
発行日 2021年5月25日
Published Date 2021/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202038
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重症四肢外傷において考えるべき合併症として,塞栓症を忘れてはならない.とくに,脂肪塞栓症は多発外傷患者における重篤な合併症の1つである.しかし,認知障害やせん妄との鑑別が難しく,外傷後に生じうる可能性を念頭に置き,診療にあたることは極めて重要である.また,重症四肢外傷術後に,その手術操作により動脈塞栓症を生じることもある.診断の遅れが患者の予後に重大な影響を与える合併症であり,血流障害を示唆する所見が少しでもあれば,十分な診察を行った上で積極的な検査を施行すべきである.
本項では,脂肪塞栓症および動脈塞栓症について述べていきたいと思う.
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