連載 やりなおし! 医療制度 基本のき・4
医療安全—「書く」ことが大事!
高橋 真
1
1高橋整形外科医院
pp.368-369
発行日 2020年4月25日
Published Date 2020/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201647
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昨今は,関節腔内注射後や術後の「感染」も訴訟の対象となり得る.その発症を予防する目的で行われた,消毒法も含めた手技的な問題においては,2016年WHO,2017年CDC(米国疾病対策予防センター)のガイドラインから大きく逸脱したものでなければ,多くの場合は無責となるか,たとえ有責となっても一部容認となることが多い.たとえば関節腔内注射では,消毒を行っても完全に滅菌できるものではなく(除菌率97.3%),注射による化膿性関節炎が数千例に1回は発症するとされている.このような医事紛争では,これらの診療行為を「説明したか」,「記録したか」が争点となる場合が多い.
ここでの「説明」とは患者の自己決定権確保のためのもので,適正な説明の欠如や誤った説明がなされれば,それはすなわち説明義務違反となり,それにより適正な医療を選択できなかった精神的慰謝料や,さらにそのために不良な結果が招来され死亡や健康被害が生じた場合は,その被害に対し賠償の責任が生じてくる.「記録」とは説明や処置も含めた診療行為のカルテへの記載である.
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