書評
外科系医師のための臨床研究 手術を評価するアウトカム
篠原 信雄
1
1北大大学院・腎泌尿器外科学
pp.301
発行日 2020年3月25日
Published Date 2020/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201628
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本多通孝先生は,胃癌や食道癌術後患者の後遺症やQOLの評価尺度を開発したことで世界的に知られる外科医である.2003年に日大医学部を卒業後,京大Master of Clinical Research(MCR)コースを修了し,現在は福島県立医大低侵襲腫瘍制御学講座教授として,精力的に消化器外科手術を行いながら,多くの研究成果を報告している.
前作『外科系医師のための手術に役立つ臨床研究』に引き続き,今回の『外科系医師のための臨床研究 手術を評価するアウトカム』では臨床研究における「アウトカム」設計の奥深さについてさまざまな角度から論じられている.「『…先生手術は成功ですか?』こんな質問にどう答えますか」というこの本の帯の質問の意味は深い.「何をもって手術の成功とするか」というのは,「何を手術のアウトカムとするか」という質問に置き換えることができるだろう.手術自体がトラブルなく終了すれば成功なのか,術後に十分な機能回復が得られることが成功なのか,それとも術後生存期間が長いことが成功なのであろうか.
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