特集 新しい概念 “軟骨下脆弱性骨折”からみえてきたこと
緒言
山本 卓明
1
Takuaki YAMAMOTO
1
1福岡大学医学部整形外科学
pp.2
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201559
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わが国は超高齢社会を迎え,健康寿命の延伸は喫緊の課題となっています.なかでも骨粗鬆症に伴って発生する脆弱性骨折は,寝たきりの原因ともなり,整形外科的にもその対応が求められています.さらに近年,骨粗鬆症に伴う脆弱性骨折が関節内にも発生することが報告されてきました.
その代表的疾患が,大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(subchondral insufficiency fracture:SIF)です.これまで,大腿骨近位部骨折は,転子下,転子部,頚部骨折という分類しかありませんでしたが,骨脆弱性を基盤として大腿骨頭の軟骨直下にも骨折が発生するということがわかりました.SIFは,進行した場合は大腿骨頭に圧潰変形を来し,手術的治療が必要となる場合も多くあり,本骨折を早期に診断し,適切な治療を行うことは,外科的治療の回避にも繋がります.日常診療において本骨折の認知度を向上させ,適切な診断と治療を行うことが,今,われわれ整形外科医に求められています.
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