最新基礎科学/知っておきたい
椎間板変性の分子機構のいま
佐川 暢保
1,2
,
酒井 大輔
1
Nobuho SAGAWA
1,2
,
Daisuke SAKAI
1
1東海大学医学部付属病院外科学系整形外科学
2ノバセラ株式会社
pp.266-270
発行日 2017年3月25日
Published Date 2017/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200773
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はじめに
厚生労働省が実施している平成25年(2013年)国民生活基礎調査では,腰痛において普段感じている自覚症状の割合が男女とも約3割で,男性では最多,女性でも2番目に高い割合であることが示された.また,通院する疾患として腰痛は男性で4番目に,女性では2番目に多いと指摘されている1).腰痛と関連の強い椎間板は加齢や変性に伴って大きく変化する組織であり,椎間板が変性すると椎間板ヘルニアやさまざまな脊柱変性疾患の発症に繋がる.しかし,正常な椎間板とその細胞を取り巻く“ニッチ”,すなわち微小環境は十分に理解されているとは言いにくく,その分子機構となると,多くが未知である.
本稿では,椎間板の形態学的,組織学的,生理学的分子機構の理解を,最近の新たな知見と絡め紹介することで,今後の椎間板変性疾患の研究や治療に役立てるヒントになることを目指したい.
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