最新基礎科学/知っておきたい
椎間板の微小環境
酒井 大輔
1
Daisuke SAKAI
1
1東海大学医学部外科学系整形外科学
pp.196-199
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201289
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椎間板の機械的機能は,中心となる髄核,それを囲む線維輪,上下を挟む終板軟骨のすべてのコンポーネントの状態に左右される.生化学的には髄核内の豊富なプロテオグリカンが多くの水を保持することで約80%が水分という特徴を持つ.線維輪も内層ではプロテオグリカンとⅡ型コラーゲンに富むが,外層にいくにつれてⅠ型コラーゲンが豊富な線維性軟骨組織になり,強度と安定性の保持に大きく関わっている1).終板軟骨は椎体と椎間板を結合し,人体最大の無血管臓器といわれる椎間板の栄養と代謝の80%以上をその末梢血管からの拡散により賄っている.椎間板変性とは椎間板の退行過程に起こる様々な変化をさす総称であり,その病態生理はいまだ明確には整理されていない.しかし,加齢,外傷,ストレス,喫煙,遺伝的要素など様々な要因が関与し起こるとされるため,その進行機序は十人十色である2).
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