視座
自分の型をもつために
小澤 浩司
1
Hiroshi OZAWA
1
1東北医科薬科大学医学部整形外科学教室
pp.207
発行日 2017年3月25日
Published Date 2017/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200762
- 有料閲覧
- 文献概要
一人前の整形外科医になるには膨大な知識を身につけることが必要です.整形外科が扱う領域は広く,骨関節,脊椎,神経,筋などに極めて多数の疾患や外傷があります.医療面接,身体所見の取り方から始まり,検査データ,画像のみかた,診断,保存的治療,手術適応,術式選択,手術手技,後療法,合併症などを各疾患,外傷ごとに理解する必要が求められます.バイブルと呼ばれるぶ厚い専門書はありますが,それを初めから読み通して勉強する者は稀です.一例一例,その症例に関係するテキストなどを読み,先輩の指導を受けて身につけていきます.
しかし,手術テクニックに関しては,テキストを読んでも身につきません.先輩と一緒に手術に入り,その手つきをみて手技を覚えます.「学ぶ」は「真似る」と同じ語源であり,手術手技を学ぶことは,正しく先輩の手つきを真似ることです.先輩の手つきは,また,その先輩から受け継ぎ発展させたものですから,手つきを真似ることは先人の功績を学ぶことになります.この過程を大切にせず,すぐ自己流で手術を行う者には,進歩は望めません.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.