誌上シンポジウム 脊椎診療ガイドライン—特徴と導入効果
緒言—脊椎診療ガイドライン—現状と将来展望
川口 善治
1
Yoshiharu KAWAGUCHI
1
1富山大学附属病院整形外科
pp.692
発行日 2016年8月25日
Published Date 2016/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200594
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診療ガイドラインとは,エビデンス(科学的根拠)に基づき系統的な手法により作成された推奨を含む文書である.これを用いることによって,医療者は膨大な情報の中から科学的に立証されている適切な治療を選択できる.また患者は自分に施される医療を受け入れるか否かの判断材料を得ることができる.1992年,イギリスで始まったコクラン共同計画は,以上のコンセプトで作成されたガイドラインの先駆けであり,現在でもエビデンスの高いシステマティックレビュー(コクランレビュー)を集め,これを編集し随時世界に配信し続けている.日本でも2011年以来,厚生労働省の外郭団体であるMindsが日本語での診療ガイドラインの情報を提供している(Mindsのホームページ:http://minds.jcqhc.or.jp/n/).
これらの流れを受け,日本整形外科学会はこれまでに14の診療ガイドラインを監修し発刊してきた.このうち脊椎に関するものは5つ(頚椎症性脊髄症,腰椎椎間板ヘルニア,頚椎後縦靱帯骨化症,腰部脊柱管狭窄症,腰痛)にのぼる.この中にはすでに内容を改訂したものが2つ含まれている.今回の誌上シンポジウムでは,5つの脊椎に関する診療ガイドラインに対し,中心的に携わられた先生方にそれぞれの特徴を解説いただいた.内容を垣間みるとそのご苦労の後がよく読み取れる.心からの感謝を申し上げる次第である.
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