境界領域/知っておきたい
難治性疼痛に対する血管内治療(TAME)―TAME:Transcatheter Arterial Micro-Embolization
奥野 祐次
1
Yuji OKUNO
1
1江戸川病院整形外科・運動器カテーテルセンター
pp.648-651
発行日 2016年7月25日
Published Date 2016/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200581
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運動器の慢性疼痛への適切な対応は整形外科の一般外来における重要課題であるが,時としてその治療に苦慮するケースを経験する.特に理学療法や注射治療などの一般的な保存的治療に抵抗する症例や,痛みの原因がはっきりしない症例などが当てはまるだろう.
難治性あるいは原因不明とされる疼痛の中には,異常な新生血管が長期にわたり残存し,疼痛の原因となっている可能性がさまざまな報告により示されている.新生された血管は,その周囲に無髄神経線維を伸長・伴走させる性質があり,伸長された無髄神経線維は疼痛に関与していることが示唆されている1).また,新生血管は炎症の発生と長期維持において重要な働きを持つことが示されている2).炎症環境下で増殖した異常血管は,血管透過性の亢進により浮腫状態を作り出し,さらに炎症細胞浸潤の供給路となることで炎症を増悪させる.実際に動物の関節炎モデルにおいて,血管新生阻害薬の投与は炎症および疼痛行動を減少させることも報告されている.
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