特集 世界にインパクトを与えた日本の整形外科
軟骨細胞による再生医療
越智 光夫
1
,
亀井 直輔
1
1広島大学大学院医歯薬保健学研究院統合健康科学部門医学分野整形外科学
pp.1154-1155
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200397
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背景
関節軟骨は血行を持たず,少ない細胞成分と豊富な細胞外基質で構成されており,日々の荷重や摩耗に耐えられる反面,いったん損傷を受けると,修復するための栄養の供給や,組織を再構築するための細胞の移動が起こりにくいために自然修復が困難である.一方で,軟骨は皮膚と並んで最初に細胞の培養増幅技術が確立された組織であり,1971年には軟骨細胞の培養増殖が報告され,1991年には生分解性高分子を足場としたヒト軟骨組織形成が報告された.さらに1994年には,Mats Brittbergらが少量の関節軟骨から単離・培養した軟骨細胞を骨膜で覆った関節軟骨欠損部に注入するという培養軟骨細胞移植を報告して,再生医療におけるブレークスルーとなった.
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