書評
『脊椎脊髄術中・術後のトラブルシューティング 第2版』
米延 策雄
1
1滋慶医療科学大学院大学医療管理学研究科
pp.882
発行日 2014年10月25日
Published Date 2014/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200008
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本書は『脊椎脊髄術中・術後のトラブルシューティング』の第2版である.いわゆる,トラブル対策集の第2版は稀である.なぜなら,残念ながら人は同じ轍を踏み,ある程度拡がった技術ではアクシデントもその対応も定型化し,知識の更新が少なくなるためである.脊椎脊髄手術もこの数十年間で広く普及し,整形外科領域での手術件数の約15%を占めるようになった.一方では,技術の進歩や患者層の高齢化など,その様相が大きく変化しており,11年ぶりとはいえ,時宜を得た改訂である.しかし,この改訂版が優れているのはそれだけではない.編者の熱い思いとそれに応えた経験豊富な執筆者(外科医)の努力が詰まっている点にある.
内容をみてみる.基本的にはカテゴリー(血管損傷,神経障害,感染,硬膜損傷,instrumentationなど)ごとに,具体的なトラブルとその対応策という構成である.項目にもよるが,まずその予防策があり,そしてトラブルが生じた場合には,いかに対応するか.豊富な経験を通じてしか得られない考え方と対応策が述べられている.対応策は具体的なテクニックがわかりやすいイラストで示されている.対応策でいくつかの見解がある場合には,複数の項目が設けられているのもよい.
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