連載 運動器のサイエンス・1【新連載】
運動器活動が脳を健康にする
半場 道子
1
1福島県立医科大学医学部整形外科学講座
pp.376-378
発行日 2014年4月25日
Published Date 2014/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408103023
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超高齢社会と整形外科
社会の超高齢化に伴い,いま先進諸国では共通して2つの脅威に直面している.①高齢に伴う認知症および軽度認知障害者の増加と,②慢性疼痛患者の増加である.世界の認知症患者は4,400万人,軽度認知障害患者はその3倍と言われる.長寿を願って医学を発達させ,国を挙げて健保制度や衛生インフラを充実させてきたその先に,大きな陥穽が待ち受けていた.各国ともこの脅威に対し国家戦略として解決の道を模索し,2013年には英国で認知症サミットが開催されている.
整形外科は,認知機能問題とはまったく無縁の領域であると,長年考えられてきた.しかし運動器の活動によって認知機能低下が未然に食い止められ,健全に保たれる可能性が最新の神経科学によって報告されている5,6).高齢者の運動器の機能を把握し,維持と向上に助力できるのは,整形外科領域である.
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