連載 運動器のサイエンス・5
運動器活動は慢性炎症を抑制する
半場 道子
1
1福島県立医科大学医学部整形外科学講座
pp.704-706
発行日 2014年8月25日
Published Date 2014/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408103124
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自然免疫の分子機構Inflammasome
いま,ホモ・サピエンス史上初めて飢餓から解放され,病原体との闘いにも多少の終息を得た時代を迎えている.しかし現代は,2型糖尿病,動脈硬化症,脳変性疾患,慢性肺疾患,がんなどの慢性疾患の激増を抱える時代でもある.これらの疾患は慢性炎症を共通基盤とする病態であり5),疾患の元凶を辿ると「身体を動かさない不活発な生活」になるという,大規模疫学調査の結果を前号で紹介した.
慢性炎症は整形外科領域にも密接に関係しており,変形性膝関節症や腰痛の増加背景として,“metabolic osteoarthritis”が提唱され,痛みの機序に新しい視点が寄せられている11).今号では慢性炎症の分子機構inflammasomeを取り上げ,なぜ現代に慢性疾患が激増しているのか,分子レベルでみて行くことにする.
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