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あとがき
戸山 芳昭
pp.716
発行日 2012年7月25日
Published Date 2012/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102410
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最近,日本では173年ぶり(東京で)の金環日食,634mの世界一高い東京スカイツリーオープンが話題となったが,今,世界で最も盛り上がっている国は英国であろう.過去に世界を制圧してきた大英帝国,その英国ではエリザベス女王即位60年のお祝いで沸いている.そして,本号が発刊される7月にはロンドン五輪が開幕する.北京五輪開催が昨日のように感じられるが,本当に時の流れの速さに驚かされる.IT化,グローバル化が進み,すべてにスピードが求められ,時の流れは益々速く感じられるであろう.
さて,わが日本の現状はどうであろうか.高齢化が進み,医療費や年金を含めた社会保障給付額は100兆円を突破した.国の負債総額も1,000兆円に迫り,国民一人あたりの借金は何と800万円に近づいている.そして,債務残高の国内総生産比は200%と世界最悪である.安定していた長期国債格付けも以前のAAからAAマイナス,そして,つい最近Aプラスへと急降下している.また,生活保護受給者も209万人にのぼり,その支給総額は年間3兆4,000億円に達している.加えて,防衛力を高めるために1機190億円の最新鋭ステルス戦闘機を今後42機(総額8,000億円)購入予定とも聞いている.このように国家財政は極めて厳しい状況下にある.1,200兆円を超えるタンス貯金と低い消費税率,国債の高い国内保有率(95%)などにより,現在のところ財政破綻は免れているが,このままでは近い将来ギリシャと同じ状況に陥るとの指摘がなされている.
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