書評
『整形外科SSI対策―周術期感染管理の実際』
山崎 隆志
1
1武蔵野赤十字病院整形外科
pp.341
発行日 2011年4月25日
Published Date 2011/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101961
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清潔手術である整形外科では一般外科などの準清潔手術に比べ,SSI発生頻度は圧倒的に低く,SSIが発生しても不運な出来事と思われがちである.私自身も過去にMRSAによるアウトブレークを経験するまでそう考えていた.しかし,SSIは努力により減少させることが可能で,SSIは外科医の実力を表す,と今では考えている.東郷平八郎は運がよいので連合艦隊司令長官に任命されたとされているが,その運のよさの陰には東郷の不断の努力があったことはあまり知られていない.SSIが起こるのは運が悪いのではなく,常日頃のSSI対策が不十分であった可能性が高いのである.
本書は整形外科SSIの予防と治療に関して,各種ガイドラインなどの総論から具体的症例まで,幅広く網羅している欲張りな本である.脊椎,膝の項では温度板からの考察,創外固定の項では患者用パンフレットも紹介されており,非常に実際的である.
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