書評
『脊椎腫瘍の手術[DVD付]』―富田勝郎●監修 川原範夫●編
野原 裕
1
1獨協医大・整形外科学
pp.783
発行日 2010年9月25日
Published Date 2010/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101792
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ついにすごい本が出た.これは富田勝郎先生の勇気と挑戦の記録であり,冷静な眼力と忍耐力の記録でもある.富田先生の開拓した「total en bloc spondylectomy(TES)」は,Capnerのcost-transversectomyを両側から行うものであり,また同時に開発したT-sawも羊羹を糸で切るところから発想したという,いずれも謂わばコロンブスの卵である.さらにTESのすごさは,腫瘍を一塊として取り除くその卓越した手術手技がエビデンスによって裏付けされていることである.
序文の中で,「助さん」「格さん」に代表されるチームワークを強調し,治療計画,手術の実施,優れた術式開発のエビデンスによる裏付けの原動力となったチームワークに謝辞を述べており,茶目っ気がありほのぼのとした温かい先生の人間味が伝わってくる.
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