整形外科/知ってるつもり
TRAP-5b(酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ5b分画)
正木 秀樹
1
,
三木 隆己
1
1大阪市立大学大学院医学研究科老年内科学
pp.818-821
発行日 2009年8月25日
Published Date 2009/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101569
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■はじめに
骨疾患における骨代謝の評価や骨粗鬆症の病態診断や治療の効果判定には,骨代謝マーカーの測定が有用であり10),健康保険でも認められている.骨代謝マーカーは,骨吸収マーカーと骨形成マーカーに大別され,骨吸収マーカーは破骨細胞による骨の破壊(吸収)の指標となり,骨形成マーカーは骨芽細胞により骨の作られる指標となる.Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)や,デオキシピリジノリン(DPD)は,骨吸収状態をよく反映し,また臨床データも豊富なことから,臨床の場で最もよく用いられている骨吸収マーカーである.しかしながら,これらの骨吸収マーカーは主に尿中に排出されたコラーゲンの分解産物を測定したものであり,直接,破骨細胞の機能を見たものではなく,測定上,日内変動や腎機能の影響を強く受けることになる.
一方,古典的な骨吸収マーカーである酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TRAP)は,破骨細胞から直接分泌されている酸フォスファターゼであり,破骨細胞の機能や骨吸収の状態を直接示していると考えられている.しかし,血液中にはマクロファージに由来するTRAPもあり,特異度に問題があるため,骨吸収マーカーとしてあまり注目はされていなかった2,9).ところが,最近になり,TRAPの分画の内,破骨細胞に特異的な5b型(TRAP-5b)のみを測定する系が開発されたことから12,13),TRAP(-5b)が骨吸収マーカーとして再評価され,また,直接,破骨細胞の機能を測定できるのではないかと期待されるようになった.
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