連載 医者も知りたい【医者のはなし】・34
蘭学の華を咲かせた医師・その3 備前蘭学の祖・児玉順蔵(1805-1861)
木村 專太郎
1
Sentaro Kimura
1
1木村専太郎クリニック
pp.582-585
発行日 2009年6月25日
Published Date 2009/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101528
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■まえがき
今回はシーボルトの来日初期からの弟子であった備前(岡山県)出身の医師 児玉順蔵について述べる.彼は晩年大坂で開業し,緒方洪庵と交流しているが,残念ながら大坂の名医伝の中にその名を発見できない.彼はシーボルトが来日した文政6年(1823)より1年早い,文政5年(1822)にすでに長崎に遊学していたので,来日後しばらくしてシーボルトの弟子にしてもらった.彼は17歳で長崎に行ったので,シーボルトの弟子になったときは18歳であった.しかし2年後の文政8年(1825)には,不思議にも長崎を去っている.黒田藩における4人のシーボルトの弟子たちのことを調べてみると,この児玉順蔵が重要な役目をしていることがわかる.彼が黒田藩鞍手郡若宮高野に滞在した間のことは福岡県医報に書いたので,岡山と大坂でのことを含めて彼のライフ・ストーリーを述べてみたい.
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