視座
一開業医から見た日本の整形外科医療の現状と今後
川岸 利光
1
1高岡整志会病院
pp.959-960
発行日 2007年10月25日
Published Date 2007/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101141
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日本の整形外科学,整形外科医療は大学を中心として卓越した識見を持った,多くの指導者の努力と活躍により大きく進歩し,守備範囲を広げ発展してきた.運動器疾患の専門医として診断から治療そして社会復帰のための運動器リハビリテーションまで一貫して担い,より多くの達成感が味わえるなど,整形外科は他科に見られない多くの魅力が一杯ある.また多くの疾患の最終の治療は手術であるが,脊椎や関節,手の外科など手術治療結果が良好で,患者満足度も高く感謝と信頼を得ているので,それぞれの専門を極めれば整形外科専門病医院として開業することもできる.
私が整形外科に入局したのは,当時弘前大学教授だった東野修治先生を尊敬し,また教室の多くの先輩に魅力を感じたからである.その後,大学病院や地元の県立病院に14年間勤務した後に開業し20数年が過ぎたが,常に変わらぬ開業医の多忙さを実感している.開業当時は救急体制が整備されていなかったため,交通事故や労災に遭った患者が多く,第一線の臨床医として毎日早朝から晩まで様々な患者を診ていた.開業数年後には専門の脊椎疾患の手術患者が増え午後は専ら手術に入り,夜仕事が終わってから院長としてなすべきマネジメントや外部から依頼のある書類の作成をしてきたが,近年さらに医療安全にかかる会議への出席や提出書類の増加で,トイレに行く時間も惜しい.
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