特集 画像で決める癌手術の切除範囲—典型症例総覧
Ⅰ.食道癌
食道癌に対する右開胸食道切除+2領域リンパ節郭清術
西巻 正
1
,
神田 達夫
1
,
中川 悟
1
,
小杉 伸一
1
,
田邊 匡
1
,
小向 慎太郎
1
,
本間 英之
1
,
清水 孝王
1
,
内藤 哲也
1
,
石川 卓
1
,
畠山 勝義
1
Tadashi NISHIMAKI
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科機能再建医学講座消化器・一般外科学分野(第1外科)
pp.31-35
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904621
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切除範囲の決定と術式の選択
食道癌症例に対していかなる切除・郭清術式を選択するかは患者の全身状態と術前画像診断による腫瘍進展状況の総合評価で決定する.患者の重要臓器機能や栄養状態に問題がなく,また遠隔臓器転移も認めない場合,根治術式の選択に直接関係する腫瘍進展程度のパラメーターは,①原発巣の壁深達度,②リンパ節転移の有無,総数,および解剖学的存在部位,そして,③壁内転移(図1)の有無などである.その理由はこれらの因子が腫瘍のresectability(①)と切除後予後(②,③)に密接に関係するからである1,2).通常,これらの診断には食道造影検査,内視鏡検査,超音波内視鏡検査(EUS),頸部および腹部超音波検査,そして胸部(頸部下部および上腹部を含む)CTが用いられる.
教室では胸部下部食道癌(Lt)の根治に頸胸腹部3領域リンパ節郭清は意義が少ないとの検討結果1)に基づいて,1994年以降Lt原発食道癌に対する根治術式として3領域リンパ節郭清は施行していない.根治が期待される(すなわち,リンパ節転移総数が4個以内で,壁内転移と頸部リンパ節転移が認められない1,2))Lt原発浸潤癌に対しては右開胸食道切除+縦隔・腹部2領域リンパ節郭清,もしくは中・下縦隔リンパ節郭清を伴う非開胸食道切除術(根治的非開胸食道切除術)を根治術式として施行している3).
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