カラーグラフ 消化器の機能温存・再建手術・18【最終回】
潰瘍性大腸炎,家族性大腸ポリポーシスに対するW型回腸嚢肛門吻合術
畠山 勝義
1
Katsuyoshi HATAKEYAMA
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.137-143
発行日 2000年2月20日
Published Date 2000/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904018
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はじめに
潰瘍性大腸炎や家族性大腸ポリポーシスは基本的には大腸粘膜の病変であるので,大腸粘膜が完全に切除されることによってその根活性が得られることになる.この根治性が得られることと,永久回腸人工肛門造設の回避を目的とし,ストレート型の回腸肛門吻合術が発表された1)(この時はanal ileostomyと表現されている)が,術後の排便回数が多く,夜間の排便の必要性も多かったので,その後あまり省みられなかった.しかしながら,回腸の末端で便貯留能を持った嚢を作製することにより排便機能が改善することが認識され,いろいろなタイプの回腸嚢が発表されている2〜6).筆者らの施設ではこの中でもW型回腸嚢を作製しての回腸嚢肛門吻合術を主に行ってきたので,その術式をカラーグラフや図を用いて解説したい.
施設によっては歯状線から近位側の1〜2cmの粘膜(いわゆるanal transitional zone)を残して吻合しているが,筆者らは疾患の根治性を重要視して歯状線より近位側の粘膜は完全切除する立場をとっているので,はじめに断っておきたい.
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