特集 薬物療法マニュアル
Ⅶ.併存病態の理解と薬物療法
6.血液疾患
貧血
檀 和夫
1
Kazuo DAN
1
1日本医科大学第3内科
pp.494-495
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903929
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基本的な事項
1.病態
「貧血」とは血液単位容積あたりのヘモグロビン量が減少した「病態」を指す用語であり,診断名ではない.すなわち,鉄欠乏性貧血,再生不良性貧血,溶血性貧血,悪性貧血など多くの疾患を総称したものである.したがって,「貧血」に対する治療は単純ではなく,「貧血」をみたら鉄剤,ビタミン剤あるいは赤血球輸血をただちに施行するというようなことを行ってはならない.実際,血液専門医のところへ紹介されてくる貧血患者のなかにはこれらの治療を受けた後に貧血が軽快しないとの理由で来院する例がしばしばある.
上述の血液疾患以外にも慢性感染症,非感染性炎症性疾患(慢性関節リウマチ,SLEなど),悪性腫瘍,肝疾患,腎疾患,内分泌疾患などに合併する二次性貧血まで含めると貧血を呈する患者はきわめて多く,どの診療科でも診る機会は稀ではなく,したがって適切な診断および治療の手順を習得しておく必要がある.
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